(小日向)今日は、Tシャツについてやミヤギさん自身まで、色々と質問させて頂こうと思っています。
よろしくお願いします。
(ミヤギさん)よろしくお願いします。
(小日向) 経歴によると、渡米されたということですが、どういう理由でアメリカへ?
(ミヤギさん)アメリカに親戚が住んでいたっていうのもあるけど、パソコンの雑誌で「ハリウッドで働くには」というコラムがあり、やりたかったのはこれだ!と思って。勢いですかね(笑)
(小日向)なるほど、ハリウッドで働きたかったんですか〜。
その後なぜ独立したのですか。ブランドを立ち上げた経緯を教えてください。
(ミヤギさん)アメリカでしばらく働いた後、帰国してゲーム製作や映像関係の仕事をやっていました。でも、仕事があまりにも忙しすぎて大変すぎたのと先が見えなくなったのもあり、辞めた後独立しました。
でも、独立してもクライアントがつくりたいものをつくってるだけで、その手伝いだけというのに疑問を感じて…
昔、映画をつくるのが夢だったんですが、独立後に仕事で映画に携わってそれが終った後「あ!俺、映画つくりたかったんだ!」って思い出して。
経歴的には目標達成、いつの間にか夢がかなってるけど、何か違うなと釈然としなかった。
結局やりたかったのは、自分が造りたい映画をつくることで、他人の映画をつくってるだけじゃつまんない。自分が考えたものがつくりたかったんだ。もっと自分が考えて、おもしろいと思う物をつくりたい。つくっていて楽しいと思いたい。と、そう気付いてブランドを立ち上げました。
(小日向)どうして専門としていた映像関係ではなくTシャツづくりにいきついたのですか?
(ミヤギさん)なぜ、Tシャツかというと、映像の仕事は10分物でも数ヶ月かかるんです。
ハリウッドの映画が千円で売られている時代に、無名の人が作った10分物の映像なんて誰も買わないじゃないですか。
無名のイラストレーターもなかなか1枚の大きい絵は売れないし、ポストカードくらいしか売れない。
でも同じCGでも、映像のワンシーンをTシャツにするなど1枚の絵が上手くいけば、売れる可能性がある。しかも3千円でね。
これは1つのチャンスだと思った。Tシャツは手段のひとつだけど、自分に1番マッチしていて売りやすい最短の母体だな、と思いました。
(小日向)多くの人が毎年夏になれば買うものですしね。
会社をやめて独立したときは、何も無い状態で怖くなかったのですか?('-';
(ミヤギさん)所属して先が見えなくなったときに、自分で道を開けるほうがいいと思った。
沖縄で「なんくるなるさ」って言葉があって、なんとかなるさって意味。なんとかなるし、なんとかならなければ考えたってなんとかならない。どうにかなることだけ考えればいいやって。
何か突き進む人はどこかものすごくいいかげんなとこがある。全部マメだと1つには集中できないから。
何かを選択したら何かを捨てる可能性がでてくるのはしょうがない。
独立って状態に持って来るのは難しいけど、今はたまたまこういう風に独立という形になってるんだから、とりあえず食って行けるまでは独立しておこう。就職はいつでもできるかなって。
最初はほんとギリギリの生活だったりで…
例えばすごくいいときは一ヶ月100万、その次の月は全く仕事が来なかったんですよ。
アップダウンはあるけど、仕事が無くなったときには就職活動すればいいやって。
特にブランドを立ち上げた以降は仕事が来なくても自分で仕事を作れるし。
完全に追いつめるときついけど行動するという保険があれば大丈夫!
(小日向)かっこいいですね〜!(*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ
(ミヤギさん)
僕は最初から好きな仕事しかしたことないんですよ。
映画が好きで映像関係にいって、途中でゲームも好きで、ゲーム会社へ。
ゲーム会社に入ったときはゲーム嫌いになっちゃいましたね(^▽^;)
寝る暇もないくらい忙しかったからゲームするのは時間の無駄だって思うようになっちゃって。
でも会社やめてしばらくしたらまたゲームしてました(笑)
(小日向)趣味と仕事は違うから、好きな物を仕事にすると長く続かないって聞いたことがあります。
(ミヤギさん)ただゲームが好きでゲーム会社に入っても、ゲームをつくるのが好きとゲームをプレイするのが好きとは違うし、好きな物で苦労してそれが嫌になってしまう事もある。
好きなことを仕事にした時に、完全にそれだけの仕事だったらきついかもしれないけど、仕事の分散の仕方もあって、何割かだったらまだいいと思うんですよ。
あと、ほとんどそうなんだけど、憧れて入っても現実は違うってのもあるし現実を知った上で好きってのもあるし。
(小日向)好きなことだけしてるように見えるアーティスト、例えば画家を職業にしたとき、描きたいものだけ描いていても食べていけないから、賞をとらなければいけない。
やりたいことと求められるもののジレンマがあると思うんです。
Tシャツもそういったジレンマを感じることはありますか?
(ミヤギさん)画家として難しいときはイラストレーターをして食いつなぎ、時には描きたくない絵もかかなきゃいけないと思うし。
自分が好きな物を書いても売れない限りは仕事じゃない。そこで賞をとって、この絵を買いたい、この人に頼みたいって思わせないといけない。
でも、どんな状況でも何かしらの方法があると思うんで、それを見つけるんです。
これは絶対お金にならないって思えることでもちょっと考えれば金になる方法ってあると思うんですよ。そしたら食べていけるし。
自分の好きな物とニーズをどう絡めるかが大切なんです。
(小日向)全く自分の嫌いなものではなく、求められるもので、自分の中にあるものを引っ張り出すってことですか。
(ミヤギさん)例えば釣りしかしてなかったら、魚を食べるしかないけど、釣った魚を売れば仕事になる。
売り方の方法だったり、釣れるスポットの情報を売るのも方法の一つですよね。
Tシャツもお金にするやり方は無限にあります。それを考えることもクリエイティブなこと。
金儲けとクリエイティブは相反する印象があるけど、実はお金儲けも案外クリエイティブなことなんです。
企画ひとつ考えるのも同じで、いかに楽しめてお金が発生するかと考える。
(小日向)そういった思考はクリエーターというよりプロデューサーの立場ですね(’O’*)
(ミヤギさん)自分でものをつくる場合はプロデューサーの自分とクリエーターの自分と分けちゃうんです。
ものをつくる時はお金のことは全く考えないで「これおもしろいじゃん!」ってつくる。
その後、もうひとりの自分が、じゃあここまでは金出せるからここまでやろうよって、プロデュースする。
(小日向)頭の中で会議してるんですね!(*’▽’*)
(ミヤギさん)そうですね、つくってるときはテンション高いから「俺天才!」ってなるんだけど、ふと冷静になってみると「これ売れんのかなぁ…ダメなんじゃないか。」って急にダメ人間になる。(笑)
でもプロデューサーの自分になってみると、いい物でも悪いものでもつくっちゃったんだから関係なくて、今度は営業を考える。売る時は、手を加えないと売れないもんだって考えとかないといけないですね。いい物が売れるもんだって思われるけど、つくる側と売る側は違っていてそれは全く違うものです。
(小日向)ランキングの上位のものがいいものかっていうと、そういうわけではないですもんね。
(ミヤギさん)でかい企業は大きな広告を出せて、例えばそんなに良くないよってものでも売れる。
つくる側からはいい気はしないけど、良くないものでも売れると支持されているものになる。
つくる側も売る側も考えないといけないんです。
(小日向)Tシャツ屋さんってどっちもできないといけないから大変ですね(・へ・;;)
(ミヤギさん)凄く良いデザインができるだけではブランドとして成立しないと思います。
経営は難しい上に、自分の給料の3倍稼がないと赤字になってしまうし。
(小日向)経営者でもありクリエーターでもあり…
(ミヤギさん)2重人格のAB型です。(笑)